ABAとは?
【ABAとは?】
ABA(応用行動分析)は、英語の<ABA(Applied Behavior Analysis>を訳した呼び方で、『人がなぜその行動をするのか』を考える方法です。
例えば、お子さんが困った行動(泣き叫ぶ、物を投げるなど)をするとき、「わがままな性格だから」とか「親の育て方が下手だから」と決めつけるのではなく、「なぜそういう行動をするのかな?」とまわりの状況から原因を探します。
大人の例で考えてみましょう。
ダイエットが続かないとき、「私には続ける根性がないから」と自分を責めるのではなく、「お菓子が目につく場所にあるから食べてしまうのかな」「仕事でストレスがたまると食べ過ぎてしまうのかな」といった、行動に影響している理由を見つけていきます。
理由が分かれば、対策も立てやすくなります。
お菓子を違う場所に置いたり、ストレス解消法を見つけたりすることで、少しずつ改善できるかもしれません。
このように、行動には必ず理由があり、その理由を見つけることで、より良い方向に変えていくことができるのです。
子育てでも同じで、子どもの行動の背景を考えることで、より良い対策を見つけられるのがABAの考え方です。
【ABAの3つの箱】
ABAでは、行動の理由を探るために「3つの箱」を使います。これは行動を3つの段階に分けて考える方法です。
1.行動の前:どんな状況やきっかけで起きたのか
2.行動そのもの:具体的にどんな行動をしたのか
3.行動の後:どんな結果になったのか
この箱に状況をあてはめて考えることで、行動の流れや周りの環境との関係がわかりやすくなります。
【1つの行動でも理由は沢山】
子どもがある場面で特定の行動をした時、その状況(何が起きているか)、その行動(子どもがどうしたか)、その結果(行動の後に何が起こったか)を考えます。
この方法を使うと、「わがままな子だから」と決めつけるのではなく、「おもちゃを取られて困っていたんだ」「泣くと誰かが反応しれくれれるからだ」「泣くことで家族が気が付いてきてくれるからだ」「泣くとやらなくてもいいと回避できると学習したのかも」「ママと追いかけっこができると学習したのかも」といった具体的な理解ができます。
【「なぜ?」がわかると「どうすればいいか」が見える】
状況や結果を理解することで、なぜその行動が起こったのかがわかりやすくなり、問題を解決するための方法を考える手助けになります。
「行動を変えたい」と思うと、つい「我慢させる」や「反省させる」といった方法を考えがちですが、3つの箱を使った分析を使うと、無理なく効果的な対策が見えてきます。これにより、子どもの行動を理解し、より良いサポートができるようになります。
【生活に合わせた対策】
行動を変えるときは、その家庭の生活に合った方法を選ぶことが大切です。
✓家族みんなが続けられる
✓その家庭の生活リズムに合っている
対策を始めたら、効果があるか様子を見て、必要に応じて方法を見直します。
【実践のポイント】
Point1:子どもの様子をしっかり見る
3つの箱で分析を行うときには、まず子供が行動を起こす前後の様子に注意します。また、自分も含めて周囲の大人がどのように対応しているかもできるだけ客観的に見直します。注意して見るだけでも、自分の対応の偏りや状況の共通点など回で改善すべき点が見えてくる場合があります。
Point2:何回か試してみる
3つの箱で変えるところを決めて実行してみたとき、すぐに効果の有無を判断しないようにします。一度うまくいっても継続しなければ意味がありませんし、1回目はうまくいかなくても、2回目に成功する可能性もあります。まずは数回やってみてうまくいくようなら続けて、効果にばらつきがあるようなら検討します。
Point3:記録をつける
効果があるのかないのか、主観で判断するのは危険です。対策を継続するべきか、見直すべきかは、記録を根拠に判断します。しかし、記録をつけるつけ続けるのは大変です。無理なく継続できる記録方法を見つけることも重要なポイントです。
ABAの結果が出てくると、子どもの『困った』が減り、『できた』が増えていきます。
【ABAのよいところ】
1.いろいろな解決方法が見つかる
2.お子さんの得意・不得意に気づける
3.親自身も自分の関わり方を振り返れる
このように、ABAは子どもの行動を理解し、より良いサポートを見つけるための道具として役立ちます。
無理に叱ったり我慢させたりするのではなく、子どもと周りの環境との関係を考えながら、その子に合った方法を見つけていけるのです。
※個別療育では実際にご家族がお子様への療育を通しながら、知識と実践方法が学べるようにサービスを提供していきます。
※ペアレントトレーニングの講座ではこのABAの分析方法から具体的な支援方法まで学習していきます。